【北海道の急速充電器15基で実車検証】 CHAdeMO→NACSアダプターの充電互換性を検証

【北海道の急速充電器15基で実車検証】 CHAdeMO→NACSアダプターの充電互換性を検証
はじめに


    「日本の急速充電器で、Teslaはどこまで充電できるのか。」


    この疑問を検証するため、OrientriseはCHAdeMO→NACSアダプターを使用し、北海道内の公共急速充電器を対象に実車試験を実施しました。


    試験期間は2026年9月27日から10月18日まで。Tesla Model Y(2026年モデル)を使用し、7メーカー・15基の充電器で充電の可否と充電中の出力を確認しました。


    その結果、15基中12基で充電が成立しました。一方、3基では充電が成立せず、いずれもABB製の充電器でした。



   

 本記事では、試験方法と結果に加え、充電できなかった事例や、現時点で確認できていない点についても紹介します。


※今回の結果は、試験対象の機器および試験条件に基づくものであり、すべての充電器での動作を保証するものではありません。


目次


1.なぜ北海道で試験したのか


2.試験方法と判定基準


3.試験結果:7メーカー・15基のデータ


4.充電が成立しなかった3基について


5.充電出力の実測結果


6.アダプターの仕様


7.今回確認できたこと・今後の課題


8.今後の取り組み


お問い合わせ・試験結果に関する注記


1.なぜ北海道で試験したのか


Teslaオーナーにとっての充電環境の課題


    Teslaのスーパーチャージャーは、長距離移動を支える重要な充電手段です。一方、移動先や目的地によっては、スーパーチャージャー以外の充電設備を利用したい場面もあります。


    北海道では、都市間の移動距離が長く、地域によって利用できる充電設備も異なります。そのため、CHAdeMO対応の公共急速充電器を利用できるかどうかは、充電手段の選択肢を広げるうえで重要なポイントになります。


 今回の試験では、CHAdeMO→NACSアダプターを使用した場合に、北海道内の対象充電器でどの程度充電できるかを確認しました。




試験対象15基について

 

 今回の試験では、北海道内で営業運転している公共急速充電器をエリアを分けて巡回し、7メーカー・15基を対象としました。特定の1社の充電器だけを集中的に試したものではありません。


 なお、今回の試験は北海道内の15基を対象としたものであり、日本全国の急速充電器の構成や互換性を統計的に代表するものではありません。メーカー別の結果についても、今回試験した機器に限った結果としてご覧ください。



 

    国内で目にする機会の多いメーカーに加え、ABBおよびZEROVAを含めて試験しました。各メーカーの試験台数には差があるため、メーカー間の単純比較には限界があります。


2. 試験方法と判定基準


 読んでいただく前提として、試験条件と方法を以下に示します。




試験手順


1.充電器本体の銘板・表示を確認し、メーカー名・型式・公称出力を記録


2.アダプターを充電器側(CHAdeMO)と車両側(NACS)に接続し、嵌合とロック状態を確認


3.各充電器の操作手順に従って充電開始


4.充電開始時のSOCと、充電中の最大出力を記録


5.充電開始の可否と、開始後の継続状態を確認






判定基準

 

 本試験では、充電が正常に開始され、その後も充電が継続した場合を「成功」と判定しました。接続できた場合でも、充電が開始されなかった場合、または開始後に停止した場合は「失敗」としています。


 なお、接続・嵌合・ロックの状態と、実際に充電が成立したかどうかは、分けて評価しています。



方法上の限界


 一部の充電器では銘板情報や電圧・電流表示を確認できず、型式・公称出力は現地表示や公開情報に基づく推定を含みます。


 実測出力は充電中の瞬間最大値であり、セッション全体の平均出力ではありません。


 試験は1台の車両・1つの季節(北海道の秋)で実施したものであり、各メーカーの全機種の互換性を保証するものではありません。



3. 試験結果:7メーカー・15基のデータ

 

 ABB製を除く6メーカー・9基では、今回の試験ですべて充電が成立しました。ただし、各メーカーの試験対象は1〜2基に限られており、この結果は各メーカーの全機種における互換性を示すものではありません。




※施設名は掲載していません。公称出力など一部の項目には、現地表示または公開情報に基づく推定値が含まれます。


4. 充電が成立しなかった3基について


 今回、充電が成立しなかった3基はいずれもABB製の150kW級充電器でした。ただし、今回の試験対象に限った結果であり、ABB製充電器全体の互換性を示すものではありません。


ケース1:道北の150kW級充電器(同一設備で2回失敗)


 9月27日に充電が成立しなかったため、10月18日に同じ設備で再試験を実施しましたが、再び充電は成立しませんでした。


 同一設備で同様の事象が再現したことから、設備側の条件が関係している可能性も考えられます。ただし、現時点では原因を特定できておらず、通信状態を含め、追加の調査が必要です。


 同じ日に別のABB製90kW級充電器2基では正常に充電が成立しました。したがって、今回の結果だけからABB製充電器全体について結論づけることはできません。


ケース2:道央の150kW級充電器(開始時SOC 8%)


 この設備では、試験開始時のSOCが8%の状態で充電を試みましたが、充電は成立しませんでした。


 SOCが結果に影響したかどうかは、現時点では確認できていません。充電器側の制御条件や通信シーケンスなども含め、原因の特定には追加検証が必要です。


今回の試験で確認されたこと


 充電が成立しなかった3基はいずれもABB製の150kW級充電器でした。


 ABB製の90kW級充電器3基では、充電が成立しました。


 道北の150kW級充電器1基では、9月27日と10月18日の2回、同様の事象が確認されました。


 取得したログの解析を進め、原因の特定に向けた調査を継続します。


5. 充電出力の実測結果


90kW級の充電器で、最大74〜80kWを記録


 今回の試験では、公称90kWの充電器5基で、充電中の瞬間最大出力として74〜80kWを記録しました。これは、公称出力の約82〜89%に相当します。


 ただし、これらの数値は充電中に記録した瞬間最大出力であり、充電セッション全体の平均出力や、アダプター単体の変換効率を示すものではありません。


 実測のピークは80kW(新電元工業製90kW級充電器、開始SOC 61%)でした。






43〜47kWにとどまった事例


 同じ90〜100kW級でも、実測最大出力が43〜47kWにとどまったケースが4基ありました(I・K・M・N)。開始時SOCは15〜41%でした。


 SOCだけでは、この出力差を説明できません。車両側のバッテリー温度、充電制御、充電器側の出力配分制御など、複数の要因が影響している可能性があります。


 現時点では、出力差をアダプター、充電器、車両のいずれか一つの要因に帰属させることは困難です。今後、充電器仕様・バッテリー温度・SOC・充電中の出力推移を照合し、要因の切り分けを進めます。


50kW級の充電器


 50kW級の充電器2基(E・O)では、それぞれ30kW・46kWを記録しました。公称出力だけでなく、車両側の受入可能電力や動作条件を含めて評価する必要があります。


出力に関する注記


 実測値は充電中の瞬間最大値です。たとえば「90kW級の充電器で80kWを記録した」とは、その瞬間に80kWを記録したという意味であり、充電中ずっと平均80kWで充電したという意味ではありません。


6. アダプターの仕様


 本試験で使用したアダプターの定格は250A / 1,000V DCです。試験対象の充電器には、公称出力50〜150kW、定格電流125〜350Aの機器が含まれていました。


 充電器の定格値と、試験中に実際に流れた電流・出力は異なる場合があります。アダプターの使用条件と各機器の仕様を踏まえ、実際の利用可否を判断する必要があります。

 

 

7. 今回確認できたこと・今後の課題


今回の試験で確認できたこと


 対象とした15基のうち12基で充電が成立しました。


 ABB製を除く6メーカー・9基では、すべて充電が成立しました。


 公称90kWの充電器5基では、瞬間最大出力74〜80kWを記録しました。


 充電が成立しなかった3基はいずれもABB製の150kW級充電器でした。


 接続・嵌合・ロックは、全15基で問題なく行えました。


今後の検証課題


 ABB製150kW級充電器で充電が成立しなかった原因の特定


 90〜100kW級の充電器で出力に差が生じた要因の分析


 冬期の低温環境における動作確認


 より高出力の充電器を含む追加検証


なぜ未確認の点も公開するのか


 アダプターを介した充電では、車両側と充電器側の双方の条件が動作に影響する可能性があります。そのため、今回の試験で確認できたことと、まだ確認できていないことを区別して公開することが重要だと考えています。


 実際の利用を検討される方にとって、成功事例だけでなく、検証が必要な条件や今後の課題も判断材料の一つになります。


8. 今後の取り組み


 充電が成立しなかった設備について、取得ログなどをもとに原因の調査を進めます。


 充電器の仕様、車両のSOC、バッテリー温度、充電中の出力推移などを確認し、出力差の要因を分析します。


 冬期の北海道で追加試験を実施し、低温環境での動作を確認します。


 検証する地域と充電器の台数を拡大します。


 また、検証を希望する充電器の情報も募集しています。「この充電器で試してほしい」というご要望がありましたら、コメントまたはお問い合わせフォームからお知らせください。今後の検証計画の参考にさせていただきます。


お問い合わせ


 Orientrise CHAdeMO to NACS EV Charging Adapterについてのご質問、技術資料のご請求、販売店・充電設備事業者様からのお問い合わせは、以下よりお願いいたします。


製品情報:https://ev-orientrise.com/products/orientrise-ev-adapter-chademo-to-nacs?variant=54071926227243

 

試験結果に関する注記


 本記事の結果は、2026年9月27日から10月18日までに実施した、北海道内の公共急速充電器15基を対象とする試験に基づいています。


 試験結果は、使用した車両、アダプター、充電器および試験条件の範囲内で得られたものです。すべての充電器、車両、環境条件での互換性や動作を保証するものではありません。


 一部の充電器については、銘板情報を取得できなかったため、公称出力などに現地表示または公開情報に基づく推定値が含まれます。また、実測最大出力は充電中の瞬間最大値であり、充電セッション全体の平均出力を示すものではありません。


 施設名は、施設および運営事業者への配慮から掲載していません。

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